zRPau3GPaY
zRGXGPmPdP

佐賀県の南西部には「餅すすり」というちょっと変わった伝統芸があります。その名の通り、もちをすする伝統芸なのですが、驚きなのはもちを食べるのではなく、飲むということ!杵でついたもちをぬるま湯につけてから、自分で食べられるサイズにちぎり、のばします。そしてゴマ醤油をつけて、すすって飲むそうです。祝い事の席などで見られる地域独特の風習だそうです。

餅すすりの起源は、言い伝えによると、400年以上も昔に遡るそうです。肥前の戦国大名である龍造寺隆信(りゅうぞうじ たかのぶ)が、龍王崎(現・佐賀県杵島郡白石町)から有明海を渡り、島原(現・長崎県南西部島原半島)へ出陣する際に、地元の領民が勝利を祈願してもちをつきました。もちを食べてから出陣しようとしたものの、龍造寺隆信は、有明海は潮の干満の差が激しく、船を出す時間がなくなるため、その祝いのもちをすするように飲み込んで出陣し、戦いに勝利した(敵軍を飲み込む意もあり)ことから、縁起担ぎとして今に伝承されています。
現在では、餅すすり保存会なるものがあり、その文化を守っているのだとか。しかし、若い人はほとんどおらず、メンバーのほとんどは60才以上。喉にもちをつまらないの? やけどはしないの? と心配になりますが、保存会のメンバーは熟練した餅すすり名人たちなので、一応は大丈夫とのこと。

餅すすりをする人たち曰く、「つきたてのもちを飲むと旨い、のどごしが最高!」だとか。ビールを飲んでいるかのようなコメントに、恐るべし餅すすり名人……。もはや、名人たちにとって、もちは飲み物なのかもしれません。

どんな感覚なのか気になりますが、一般家庭で餅すすりを真似することはおすすめできません。やってみたい場合は、かならず保存会に入って教わりましょう。

文・米田ロコ

取材協力、写真提供:佐賀県・白石町役場
※当記事は餅すすり文化の紹介であり、餅すすりに関しては自己責任でお願いいたします。

ページトップへ戻る