子どものころ、いつか食べてみたいと憧れた「宇宙食」。日本人宇宙飛行士が増えるにつれ、宇宙食にも和食が充実しています。慣れない土地での長期間滞在中になじみある味でホッとしたいのは、旅行者も宇宙飛行士も同じなんですね。
科学館や博物館などでは、さまざまな宇宙食を購入することができます。そのラインナップにおもちを発見! もともとは、日本人宇宙飛行士が持っていく私物として開発されたのだとか。
スペースライスケーキ(宇宙のおもち)と名付けられたこのおもちは、一般的な宇宙食と同じフリーズドライ加工品。マイナス30℃程度で急速冷凍、さらに減圧し、水分を飛ばして乾燥させています。食べ方は、乾燥状態のおもちが入ったトレーに水を加え、数分浸すだけ。水がしみ込んだら、あっという間にモチモチツルツルのおもちのできあがり!おもちを焼くガスやお湯を沸かすための熱源は必要ありません。フリーズドライなので軽くて長期保存もできます。そのため、アウトドア業界や災害用保存食としても「便利でおいしい」と注目の食材なのです。
宇宙でも地上でも人気の、フリーズドライのおもち。日本人宇宙飛行士の「宇宙でおもちが食べたい!」という思いが、日本の伝統食・おもちをさらに進化させました。何百年も昔から携帯食や保存食として頼りにされ、人々に愛されてきたおもち。現代においても形を変えて、その存在感を強めています。
文・松浦松子
取材協力:宇宙の店